■ 本紙創刊15周年記念企画
高麗郡建郡1300年記念事業「高麗日韓友好祭」みやびやかに開催

  2016年10月15日号
一般参拝客も含めてのべ600人が来場した 韓国太鼓プク演奏(けやき学園)
琵琶演奏(加藤敬徳) パンソリ(王清一)
朝鮮通信使再現パレード(けやき学園) 農楽(醴泉通明農謡)

  弊紙は創刊15周年を記念して、高麗郡建郡1300年記念事業の公式催事「高麗日韓友好祭」(高麗神社・高麗1300協力、日高市・駐日韓国文化院ほか後援)を5月22日、埼玉県日高市の高麗神社境内で開催。飛鳥時代、朝鮮半島から日本に渡り、同地域を開拓した高麗王若光ら渡来人に思いをはせながら、日韓の伝統芸能を楽しみ、一層の日韓善隣友好と東アジアの平和を願った。(李善諭撮影) 
                               
                               
 開催を前にして、主催者の李相善コリアンワールド代表が「1300年の時の流れをさかのぼり、韓国からの渡来人たちがこの地域を発展させていった遠い古(いにしえ)に思いをはせながら、日韓の伝統芸能を最後までごゆっくり楽しんでほしい」と開会あいさつした。
 続いて、高麗郡建郡1300年記念事業を推進する高麗1300の大野松茂理事長が「伝統の韓国の音楽をはじめとする、様々な誇るべきの文化をこの地で展開していただけること、見せていただけること、聞かせていただけること、これはまさに日韓親善の上で極めて大事なことです」と祝辞を述べた。
 同友好祭は高麗茶道のお披露目から幕を開けた。
 高麗茶道苑の申雅孔院長がお点前(てまえ)を披露し、高麗王若光の御霊に高麗茶を献上すると、観客らはその儀式の荘厳さに息をのみながら注目した。
 韓国・東国大学日本学研究所の王清一理事長は韓国伝統芸能のパンソリを歌い上げ、流麗な調べを会場に響かせた。
 開催を記念して、高麗王若光直系子孫の高麗家60代当主で、会場となった高麗神社の高麗文康宮司がメッセージを送った。
 「高麗人がやって来て、高麗郡が始まったこと、そのことはとても大切です。その方たちが高句麗から渡ってきた人々であったということは、歴史的にはとてもユニークだと思います」と渡来人に言及。「先人に対する感謝の気持ちを持った人々を育てること、さらにはそうした気持ちを持ちながら、この地域の未来を考えていき、そして、そうした地域づくりの上に、東アジアに向けた平和と友好のメッセージを送っていこうという思いです」と語った。
 韓国の伝統芸能に対し、琵琶奏者の加藤敬徳さんが「高麗王若光」と題した琵琶演奏を披露した。高麗王若光が渡来し、朝廷から命令されて高麗郡を開拓していった経緯を琵琶を奏でながら、説いていった。
 この日は韓国からも特別出演があり、慶尚北道の「醴泉通明農謡」が本場の農楽を演じた。
 農村で田植えや草刈りの共同作業をする時に、仕事の労苦をともに励まし、慰労し合いながら、唄われているパフォーマンスで、韓国の重要無形文化財に指定されている。独特のリズムとユーモラスな動きに観客らも輪に加わって一緒に踊る場面も。
 地元からは「けやき学園」の小中高の生徒たち58人が出演。今年3月に日韓の民間団体が共同で世界記憶遺産登録に申請した朝鮮通信使の再現パレードを行い、韓国太鼓のプクを演奏した。
 在日韓国人2世の歌手、李政美さんがチャンゴを奏でながら「アリラン」などを歌うと、旅情演歌の実力派、嶋三喜夫さんが「里がえり」や、三橋美智也メドレーなどを披露し、会場を沸かせた。
 最期に埼玉市浦和区在住の主婦、吉田マサコさんが地元市民を代表して日韓友好メッセージを発表。「高麗郡建郡1300年を機に、日韓の文化、スポーツなどの交流と併せて、市民交流がもっともっと盛んになることを祈念します」と述べた。
 東京都八王子市から見物に訪れた冨岡浩明さん(56)は高麗神社の役割について触れ、「1300年間、60代にもわたって、渡来の歴史を守り続けてきたことに驚きました」と話す。
 在日2世の男性は「渡来の里と言われるこの高麗神社で、日韓の文化交流をしたことが意義深く、渡来文化や渡来人の足跡を後世に伝えていかなくてはならないと思います」と語っていた。