平城遷都1300年記念事業 東アジア歴史シンポジウム
日本形成における渡来人の役割検証

 ネット配信ニュース 2010年6月19日
白熱した論議が交わされたパネルディスカッション
平和メッセージを述べる千玄室裏千家前家元 天平時代の国際性について講演する上田正昭京都大学名誉教授

 本紙は平城遷都1300年祭の記念事業として東アジア歴史シンポジウム「日本国家形成と渡来人」を5月22日、奈良県橿原市のかしはら万葉ホールで行った。大陸文化に影響された飛鳥と韓国の文化の深いつながりについて意見が交わされ、参加した約600人が東アジアの歴史と友好について考えた。

 シンポに先立ち、千玄室裏千家前家元が「中国、朝鮮・韓国、日本がアジアのリーダーとして、大きな平和の輝き世界に発信することを願う」と平和メッセージを述べた。続いて、上田正昭・京都大名誉教授(古代史)が基調講演。「(建立時の)飛鳥寺の塔やお堂の配置は高句麗と同じで、当時の文化がインターナショナルだったことを示す例だ」と語った。討論では、金容雲(キム・ヨンウン)・韓国檀国大学校特任教授ら5人の専門家が討論。朝鮮半島とキトラの四神壁画の類似点を指摘するなど、飛鳥時代の文化と東アジアのかかわりについて、それぞれの持論を熱く交わした。
 
 中国考古学を研究する徐光輝・龍谷大教授が、高松塚古墳とキトラ古墳に描かれた四神の壁画について「青龍と白虎の形には共通点がある。頭部や胴体部まではS字形で、玄武はだ円形に近い。これらの特徴は高句麗後期や百済にも見られる。渡来系の位の高い人物が葬られたと考えられる」と意見を述べた。

 韓国・忠清南道の洪萬杓・東アジアチーム長は「関西や熊本、関東などに百済にゆかりのある場所が多い。お互いの距離を縮めるため、百済を媒介して仲の良い関係に出来るのでは」などと話した。
 また、アジア史学会会長の上田正昭・京都大名誉教授が「天平文化の国際性」と題して基調講演した。