法務省入国管理局の統計によると、2007年度末段階の在日外国人の人口は215万2973人となり、過去最高を更新した。しかし、在日韓国、朝鮮籍はこの10年間で少しずつ減少し59万3489人となっている。中国籍が60万6889人で1位を占め、韓国、朝鮮籍は2番目だ。
渡日した1世世代は現在、ほんの数%であと10年したら、ニューカマーを除いた在日同胞は日本生まれが100%になる見込みだ。
在日同胞は解放から64年経過した。日本が敗戦後復興し、現在世界第2位の経済大国として成長した恩恵もあり、日本の各地域でそれなりの豊かな経済基盤を築いてきた。パチンコ、焼肉といった娯楽、食産業で大きな役割を果たしてきた。祖国に対しては、国家建設に莫大な費用を注いだ。88年のソウル五輪が象徴な例で、寄付金は100億円を上回ったのである。1世の故郷に錦を飾る愛国心の発露に他ならない。
韓国は1965年の韓日条約締結により有償無償5億kドルの資金が日本から提供され、経済発展の基礎にした。北朝鮮は1959年からスタートした帰国事業により、約10万人近い同胞を帰還せしめた。南北両政権は在日同胞を担保にして、祖国社会建設にまい進したのである。
在日同胞はその歴史的誕生から100年を迎えている。1919年の「日韓併合」という植民地政策の結果、日本への渡航を余儀なくされた。そして第2次世界大戦、冷戦時代の結果、祖国に帰れず再び日本に住み着いた。
1950年の6・25朝鮮戦争は米ソの代理戦争であり、南北の武力統一戦争であった。在日同胞も民団、総連という対立構図を構築した。
それでも冷戦時代という環境の中で、多大な祖国愛、民族愛を発露してきた1世を称えたい。日本社会での差別と葛藤しながら次世代教育に奔走してきた1世の愛情には心から敬意を表したい。
しかしながら、解放から60年以上経過していながら、いまだに、民団、総連と対立構造を維持している在日同胞は、海外同胞として世界に誇れるだろうか。すでに2世世代からは多くの孫が誕生した。孫の世代が成人になったとき、民団、総連という2分化状況の説明に窮する人は多いだろう。
民団、総連の役員諸氏は10、20年後の在日同胞のあり方を展望し、3、4、5世に見合う組織形態を今から準備していかなくてはならない。未来の世代にまで分断の後遺症を継承させるつもりなのだろうか。
日本の政権交代をにらみ、永住外国人地方参政権獲得運動に最大級の努力を傾ける民団だが、新世代を取り込む組織形態の見直しも並行してぜひ取り組んでいただきたい。総連も共和国への追従政策から脱皮しなくてはならない。祖国偏重ではなく在日同胞による在日のための組織に生まれ変わってほしい。
冒頭に触れた金明姫寝屋川ブランド戦略課長、女優の安蘭けいさんのような優秀な3、4世の登場を喜び、在日同胞、日本社会を指導する存在としての在日コリアンのグレードアップに努めていきたいものである。
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