質素・堅実な組織運営を 在日の経済危機到来を団結・協調で克服しよう
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昨年世界自然遺産に登録された済州島・城山日出峰からのぞむ日の出 |
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■若い世代に勇気と希望与える在日芸能人の活躍
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昨年11月、宝塚歌劇団星組公演「エル・アルコン―鷹」「レビュー・オルキス蘭の星」を妻、息子と観に行った。宝塚劇場は1階、2階合わせて2500席で、観客はほぼ満員。
主演の安蘭けいさんは滋賀県生まれの在日3世。キリッとした顔立ちに長身の凛々しい姿に観客は魅了され、惜しみない拍手を贈っていた。気分爽快で胸の高まりを抑え切れなかった。
安蘭さんは「私は在日」と周囲に打ち明け堂々としているとのこと。アボジは滋賀県の民団本部団長、韓国商工会議所会長を歴任してきた安相鳳氏。民族愛に満ち溢れた熱血漢で「小さいころから、民族アイデンティティだけはしっかり植えつけてきたつもり。宝塚へ行っても、同じ星組の団員からアボジ、アボジと言われている」と誇らしげだ。
宝塚で外国人がトップを務めたのは中国出身の鳳蘭が最初で、安蘭さんは2人目になる。世界に誇る日本の歌劇団のトップに在日3世が君臨していることに、在日はもっと高らかに誇っていいし、1人でも多くの同胞に観ていただきたい。
昨年、サッカーで話題を呼んだのは日本国籍を取得した4世の李忠成選手だ。日本が北京五輪の最終アジア予選でゴールを決め、日本チームの五輪出場決定に大きな役割を果たした。本人も「サッカーを通して日本、韓国の友好親善を果たしていきたい」と若干23歳ながら、在日として架け橋の役割について言及している。李選手の活躍に心から拍手を贈りたい。
昨年、演出家のつかこうへい氏は日本国から受勲表彰された。新聞記事には「つかこうへい(金峰雄)」と本名が併記されていた。実に胸のすく思いがした。
芸能、演劇、スポーツ歌謡界で活躍する2、3世が増えることは、多くの在日の若い世代に勇気と希望を与えることだろう。そしてコリア系の芸能人、スポーツ選手が業界でさらに活躍できるよう、支援、協力する機会があれば、積極的に応援していきたいものだ。
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■深刻な在日の経済
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昨年1年で、全国のパチンコ店約1万3千件のうち、約1千件が廃業したと言われている。スロット5号機問題で、賭博性の高いスロット機械を昨年の9月までに総入れ替えしなくてはならない状況に陥り、資金的に体力の弱い業者がどんどん倒産、廃業していっているのだ。儲かるのは機械メーカーばかりで、生き残るのは大型のチェーン店のみと言われている。
民団、韓商などが中心となって「レジャー産業健全推進協会」(仮称)が発足し、会長に鄭進民団中央団長が就任した。
「今から、じたばたしたった何の効果もない。かえって行政からにらみを利かされるだけで、黙って見守るべきだ。この際、潰れる店は潰れた方が良い」と突き放す人もいれば、「何もしないでいるわけにはいかない。何らかの行動を起こさないといけない」と積極的なアクションを奨励する人もいる。
韓信協傘下の各信用組合も深刻で、遊技業界への融資は平均で50%前後になっている。倒産が益々増加するのは必至で、民団、総連を中心とする組織運営に図り知れない経済的打撃を与えると予測される。
戦後、在日同胞の諸団体を経済的に支えてきたのは遊技業者の経済的支援があったからといってよい。ある大手地方の商工会議所会長は「もし、消費税がこれ以上上がったら、業者はほとんどアウトだ」と尋常ならぬ警告を発している。
昨今、北朝鮮の拉致事件意向、とくに総連系商工人の脱税摘発攻勢が強まっている。一昨年のニュースだが「パチンコ会社の巨額脱税経営者一族逮捕。金塊も隠す」「79億円所得隠しか」と実名入りで報道された。調べてみたら京都市内の総連系の商工人で、10億円相当の金塊が税務署員に発覚されたという。
ある京都の同胞商工人は、「マルハンあたりがリーダーシップをとって推進協会を引っ張っていってくれればいいのだが、恐らくその会には入らないだろう」「いい加減な気持ちだったら、会は有名無実になる。会長に就任した鄭進団長は、本人が業界に長く携わっているので、業界の内幕は全て知っている。鄭進氏が自身の店を潰しても公権力に抗う覚悟があれば、ある程度上手くいくのではないか」と辛らつに評している。
民団、総連もこれまで行事ごとに、百万単位でポンと支援する人はパチンコ業者であり、他の製造業などはごく僅かの比重しか占めてこなかった。これからはそのような寄付行為は期待できないだろう。
在日一人ひとりがふんどしを締め直して、これからの在日の経済危機にどう対応し、困難を乗り越えて行くべきか、真剣に英知を結集し考えなくてはならない。
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■非常事態の心構えで改革断行を
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「歴史街道」誌に興味深い記事があった。
「前11世紀頃に小さな村落からスタートしたローマが、前1世紀にほぼ地中海世界を統一して大帝国を作り上げた。そこに至るまで出陣する将軍や兵士たちの主な食料は大麦の兵糧とニンニク、玉ねぎなど強臭を打つ球根類であった。しかし、ローマが粗食になれた兵士の勇猛と農民の勤勉によって天下を取り、世界の富を手に入れると、にわか成金になったローマ人は急速に文明開化をしてニンニクを嫌い始めた。贅沢になった宴会や家庭の料理からニンニクは追放された」とある。
つまり、古代のローマが豊かになっていくと、食生活に変化が起こりニンニクを食べなくなり、スパイス、香辛料に目の色を変えた。これらの変化がローマの衰亡に少なからず影響を与えたとのことである。
さらに、「地中海の女王」と呼ばれた経済大国として知られたカルタゴが紀元前146年にローマとの戦いに敗れ、地上から消滅した。消滅した理由として指導者の不在と経済追求のみで、富のみに執着してきた結果と判断している。ある歴史学者は今の日本を「カルタゴ化」していると指摘している。
在日同胞は日本経済発展の一角を占め、1世は必死になって今日の経済基盤を築いてきた。しかし、今日、そのささやかな経済基盤が遊技業界を震源に崩れつつある。
民団、総連、商工会議所、JC、青商などの組織は総会などの行事を名目に年間どのくらいの経費、費用を使っているだろうか。例えば、民団中央が昨年、実施した新年会などは経費600から700万円を計上したと聞く。本国国民の血税などから予算化している韓国政府の補助金に頼っている立場として、そうした事業費の使途については再考を促したい。
例えば、一等地に構える高級ホテルではなく、民団中央会館などでケイタリング(出張宴会)の料理で済ませば、予算の削減にもつながる。手作りでも心のこもった宴を演出すれば、出席した日本の来賓らも十分満足すると信じる。また、節約できた予算は文化事業などより生産的で建設的な経費として使える。
ローマ、カルタゴではないが、「食満ち足りて国が滅ぶ」のである。新年にあたって、あらためてよりよい同胞社会を展望したい。在日同胞一人ひとりが、あの終戦後の闇市時代を思い出し、身分不相応な生活態度、組織運営を改善改革し、質素堅実な生活、運営を励行していきたいものだ。
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