2016年10月15日号
 2001年に創刊した弊紙「コリアンワールドニュース」はおかげ様をもちまして今年で15周年を迎えた。これまでの読者、賛助者の皆様方の温かいご支援に心より感謝の意を表したい。

言論活動と並行して毎年、韓日の相互理解促進に資する文化イベントや講演会、シンポジウムも開催してきた。

韓日友好伝統公演などを通して韓国文化の素晴らしさをアピールするとともに、日本文化庁が主導した平城遷都祭の公式行事として主催したシンポジウム「日本国家形成と渡来人」などで、朝鮮半島からの渡来人らの役割を検証してきたことは内外からも評価された。


北朝鮮の核問題を憂慮する


創刊15周年を迎え、あらためてわが民族全体を俯瞰してみるとき、北朝鮮の核問題について言及さぜるを得ないことに、やりきれない思いを抱く。

 2006年10月9日、北朝鮮は初の核実験を行い、今年9月9日までに核実験を5回遂行した。北朝鮮は米国の脅威という認識が広まりつつあると言われ、来年1月に発足する米国の新政権がどのような対応をするかが焦点になっている。
韓国・国防省は7月8日、北朝鮮のミサイルに対処するため、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を在韓米軍に配備することを発表した。

 中国の反発など、米中を軸に新冷戦体制の不穏な動きに包まれ、朝鮮半島は世界の火種として注目されている。一方日本は、拉致問題の解決に向けて日朝が接触していると報道されているが、核問題が足かせになり、拉致問題の解決にこれといっためどが立っていない。

 日本の安倍政権の安保法制の成立など憲法改正に最も手助けしているのは北朝鮮の金正恩政権とも言え、日本のマスコミなども「朝鮮半島の有事の際にいかに邦人を救うか」などシミュレーションに余念がない。

 6カ国協議の未進展など、米国のオバマ政権も朝鮮問題の解決に向けて熱心ではない。この10年間平和解決に向けて一向に進展していない。進展したのは北の核開発、韓米日の迎撃体制に向けた軍事産業であり、日本も防衛費だけは膨張している。底流に軍需産業の第三の商人たちがうごめき、産軍複合体制がしっかりと暗躍しているのではないか。

 世界ではじめて核兵器を手に入れたのは米国であり、ロシアはその米国に対抗して各保有国となり、英国は3番目になり、フランスと核の拡張が進んだ。

 米国、ロシア、イギリス、フランス、中国の5カ国が核保有国として認定され、インド、パキスタン、イスラエルと保有している。約2万7千発と言われる核兵器は米国とロシアが圧倒しており、ロシアが6千発、米国が1万発だから地球上の9割以上の核がこの2大国で占めている現実がある。

 北朝鮮のテポドン203は射程距離がグアムやアラスカなど米国領土まで達すると言われる。

真の冷戦終結は朝鮮問題解決に


 北朝鮮の核開発の抑止論議が世界の軍核競争に歯止めする格好の材料になるのか、新たなる軍核競争に入るのか、人類の叡智が問われている。この果てしない軍核競争の果てに見えてきたのは、ひとたび核戦争が起きれば米ソも共に生き残れない真っ暗な未来であり、人類は滅亡する。核兵器の開発、製造、管理には多額な費用が必要で、管理上疎かになると放射能漏れが起き、危険な状況が生ずる。

 核兵器の問題は人類の生存問題に直結しうる問題であり、北朝鮮問題解決は人類史的問題解決の一里塚ととらえたい。北朝鮮との国交樹立を通して人的文化交流などを実現させ、平和解決していただく道のりを作っていただくことを日朝両国政府に提案したい。

 朝鮮半島の分断は世界が資本主義、共産主義と対立した第1次、第2次世界大戦の戦後処理の未解決問題であり、日本の植民地支配の残滓の問題である。

 朝鮮問題が真の解決に至らないと、冷戦時代の真の解決にならない。世界は欧州におけるテロの頻繁な横行や、東アジアでは中国の南シナ海の覇権的動きなど、米中を基軸として、現代的新冷戦の兆候が引き起こされている。世界史観な矛盾の縮図がまさに朝鮮半島問題なのである。

 創刊15周年を機に今後も一層、同胞社会発展、民族繁栄、世界平和安定に資する言論活動を続けていきたい。