2010年1月1日号
 
 弊紙は今年創刊10周年の文化事業として、平城遷都1300年祭の公式行事として、東アジア平和友好催事「コリアンワールドフェスティバル」を同祭メイン会場の奈良県平城宮跡などで開催する。
日本国文化庁の主導で710年の平城京を再現して、日本の国家形成の出発点を確認するもので、奈良県下で1年に渡って様々な文化行事が展開される。総予算は1千億円。平城京の宮殿、太極殿を約200億円で再現した。日本国形成時の歴史的モニュメントを構築し、日本国民のアイデンティティ形成に資することが同祭の理念だ。
昨年、荒井正吾奈良県知事に単独インタビューしたところ、冒頭に「平城遷都祭は在日の皆さんの出番ですよ。期待しています」と言われ、虚を突かれた。
渡来人の末裔的存在の在日の役割について熟慮されている知事に見識に驚いた。「奈良は韓半島とのゆかりの地が多い。そのゆかりの歴史を知ることによって、日本と韓国が本当に親しくなれる。これからの東アジアの中心は奈良です」と語る言葉が印象的だった。
韓半島と日本列島の交流のゆかりの源流地は奈良県明日香村の飛鳥だ。飛鳥は6世紀末にできた日本国最初の都である。古代の政治的拠点、飛鳥は面積が3千qで、現在の都、東京の永田町霞ヶ関とほぼ同じと言われる。奈良盆地の南東にある小さな土地に、韓半島からの渡来人が大量に住み着いた。
630年、白村江の戦いで百済が新羅・唐の連合軍に敗れた。政治亡命者たちが、飛鳥に故郷の香りを求めて来たのだろう。そして、渡来人らは文字、建築技術などをたずさえ、仏教を中核的思想と位置づけた。
日本最初の寺院が飛鳥寺で、山本宝純住職は「百済、高句麗の人々のおかげで、このお寺が建築されました。この飛鳥が起点となって、日本国最初の都ができたのです。本来でしたら、平城遷都1300年祭ではなく、創都1400年祭をしなくてはなりません」と話している。つまり、韓半島からの渡来人のおかげで、日本国が形成される土台が築かれたと言うのである。

2千年の歴史検証から未来へ

 ところが、奈良を旅してみると、多くの広報では韓半島からの由来の記述が少なく、中国からだとすることが多く見受けられる。そこには朝鮮人、韓国人嫌いが蔓延している。一部には「同和より下層の韓国人集団と関わり合いたくない」などの生理的嫌悪感が根底に流れているのだろう。
その典型的な例が日本を代表する哲学者、梅原猛氏の言動に見受けられる。同氏の著書に「新羅、百済、高句麗の3国ができる前から日本国は成立していた」と記述されていた。つまり、日本は韓半島とは歴史的に関係ないと言いたいのだろう。その底流には、日本民族は単一の純血な民族で、天皇を中心とする神の国の論理である。
中国大陸由来説、単一民族説が基本になって、明治以降の脱亜入欧政策が重なり、韓国人蔑視の原因となっていた。故に韓民族への差別感を根本から是正していくには、弥生時代から邪馬台国、飛鳥へとさかのぼって、歴史検証をしていかなくてはならない。
弊紙は今年5月15、16日の2日間、飛鳥の石舞台で渡来人を偲ぶ祭祀を行い、コリア文化を発信する。古代の時代を再現し、正しい歴史を検証し、ともによりよきアジアの世界をつくりたいという思いからである。
一部では「古代は遠い過去のこと。2000年前のをほじくって何の意味ががあるのか」と言う人もいるが、決してそうではない。過去の友好な関係、共存共栄の時代を探ることにより、現在、未来へと引き継がれていくのではないのだろうか。
今年は、日本の植民地統治下から100年を経過した年である。100年経っても、祖国はいまだに分断されており、在日はその反映で2つの組織に別れている。
100年経過しても真の独立を成し得ていない祖国と在日社会を持つ私たちは決して世界に誇れる民族とは言えないだろう。弊紙は平城遷都祭の公式イベントとして奈良で開催する伝統芸能公演や歴史シンポジウムを通して、近代100年の被害者意識から脱却したい。在日が南北に分かれている祖国の融和、そして日本社会との共生を探っていく軸を韓半島と日本の「へその地」である飛鳥で時空を超えて、地球人の1人として深く考えていきたい。